2018年末、中和寮内にわかに登場した文化情報誌『中和月報』はあえなく2号を発行したところで、一時停刊となった。その後何度も復刊の話が立ち上がっては消えていった。2020年、ある一人の寮生によって本サイトが立ち上がり、また執筆意欲を持つ者が増えたということもあり、いよいよ『中和月報』は装いも新たに復活することとなった。有史上、数多くの雑誌は消えていった。それは発行人や編集者、書き手の事情によるものや、経営難、ときには権力による介入などによって停刊、廃刊を余儀なくされることもあった。しかし、文化の火を灯し続けようとする熱意が消えることがなかった場合、それは不死鳥の如く復活する。『中和月報』もそういった文化運動の一面を持っているといえよう。

 中和寮は自治寮である。中和寮のあらゆることが自治運動という営みをもって、担われる。言ってしまえば、こうした文化的な活動も自治運動の一環でもあり、表裏一体の関係にある。ゆえに『中和月報』の活動は単なる同人誌的活動というよりは中和自治新文化運動という側面を持っているであろう。
 新生『中和月報』はその復刊から、執筆陣に恵まれた。ネオ・ブルジョア氏は寮内雑誌の復活にふさわしく、自身の高校寮生活を記した作品を発表してくれた。旧『中和月報』時代にロボット・プロレタリアートの誕生を高らかに宣言したクリーンセンタートコタケ氏は、本号ではラッパーのもつrepresentに対し問いを投げる鋭い批評を示してくれた。中和寅次郎(さしずめインテリだな?)氏は、ボードゲームの解説にとどまらず、それを作りもの、つまりはボードゲーム作家論を展開した。旧『中和月報』時代より続きが読みたいという声が高かったKozy Marr氏は、その深く広い知識をもとに60年代カルチャーを語ってくれた。救救孩子氏は格闘技というものが抱える「幻想」の問題に切り込んでいった。

 復刊でこれだけの作品が集まったことに編集部より執筆陣には心よりお礼を申し上げたい。残念ながら投稿が間に合わなかった作品や次回以降の掲載を目指している作品がすでにある。この全国上稀なる雑誌の奇特な読者たちは、これからの『中和月報』にぜひ注目していただきたい。

中和月報社編集部より

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