創刊詞

創　刊　詞

仲路由子

　古に「中和」の思想を唱える者あり。四書のうちの一つ『中庸』には次のような言葉が記されている。曰く、「喜怒哀楽之未発、謂之中。発而皆中節、謂之和。中也者、天下之大本也。和也者、天下之達道也。致中和、天地位焉。萬物育焉」。意味は次のようなものである。「喜怒哀楽といった感情をまだ発していない状態を中と言い、そういった感情が起こっても、それがみな節度のあるものならば、和と言う。中は天下を支える根本であり、和は天下を支える人として行うべき道である。中和に至れば、世の中は落ち着きを得て、あらゆるものが健全に育つのである」。

　昨今の社会においては、この中和の思想は実践されず、政治家ほしいままにその力を揮い、民衆は苦しみ、世は乱れている。吾々はここに、「中和」の名が冠されたこの寮が、中和の実践者たらんことを願う。吾々はこの寮が自由かつ健やかに吾々を育て、安らかな生活を得られるよう情報を発っしていく決心である。