とどまる

とどまる

佐久本佳奈


風をはらもうとして

空高く上げた五本の指と

私たちのいくつもの腕は

相似の関係


ひとりで飛ぼうとしたね

個々の骨は 一体の翼

大事な芋を

背中でつぶさないように

あちこちの関節をねじって息をひそめる

じんわりと温かな地面

敵があんなにも若いなんて

やりきれないね

桃のような肌をしていた


地中へ溶けて 葉脈まで吸い上げられて

みずみずしく生まれ変わる

分裂して

代わりが生まれる

あなたたちはそのようにして生きてきた

そのようにして

少しずつ 切り取っては 差し出した

朝と夕は別々の窓に仕切られても

土の匂いが水脈の在り処を知らせても


風にはためく文字が

今にも飛んでいきそう

ひとりでは重石にもならないから

乗って 折り重なって

危うく塔になるところ


(『琉球新報』「琉球詩壇」より転載)


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